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顔にヒリヒリ・電気が走るような痛みはなぜ?三叉神経痛について

顔の感覚をつかさどる神経の痛み「三叉神経痛」とは

三叉神経痛とは、顔の感覚を支配している「三叉神経」が刺激されることで起こる神経性の痛みです。
頬やあご、目の周囲などに、ヒリヒリ、ジリジリ、あるいは電気が走るような鋭い痛みが突然現れるのが特徴です。

痛みは数秒から数十秒と短時間であることが多い一方、会話、洗顔、歯みがき、食事といった日常の何気ない動作をきっかけに、繰り返し起こることがあります。
そのため、「顔を触るのが怖い」「食事がつらい」と感じ、生活の質が大きく低下するケースも少なくありません。

なぜ顔に強い痛みが起こるのか

三叉神経痛が起こる原因には、神経への圧迫や刺激が関与していると考えられています。

血管による神経の圧迫

もっとも多い原因とされているのが、脳内の血管が三叉神経に接触・圧迫することです。
この刺激により神経が過敏になり、軽い刺激でも強い痛みとして感じられるようになります。

加齢や神経の変化

加齢に伴う神経の変性や、神経を覆う構造の変化によって、痛みが生じやすくなることがあります。

他の疾患との関連

まれに、脳腫瘍や多発性硬化症など、別の疾患が原因となって三叉神経痛が起こることもあります。
そのため、症状の経過によっては詳しい検査が必要になることがあります。

三叉神経痛でみられる痛みの症状

三叉神経痛の痛みには、いくつかの特徴があります。

  • 顔の片側に起こることが多い
  • 電気が走るような鋭い痛み
  • ヒリヒリ、ジリジリとした灼熱感
  • 数秒〜数十秒で治まるが、繰り返し起こる
  • 洗顔、歯みがき、会話、食事などで誘発される

痛みが強いため、歯や副鼻腔のトラブルと間違われることもあり、歯科を受診しても異常が見つからないケースもあります。

三叉神経痛はどのように診断される?

三叉神経痛の診断では、症状の詳しい聞き取り(問診)が最も重要となります。
顔のどの部位に痛みが出るのか、どのような性質の痛みなのか、どのくらいの時間続くのか、そしてどのような動作がきっかけになるのかを丁寧に確認します。

三叉神経痛に特徴的なのは、

  • 電気が走るような鋭い痛み
  • 数秒から数十秒と短時間で強い痛みが出る
  • 洗顔、歯みがき、会話、食事などの軽い刺激で誘発される

といった点です。
これらの特徴がそろっているかどうかは、診断を進めるうえで重要な判断材料となります。

また、痛みが顔の片側に限局しているかどうか、痛みのない時間帯は普段通りに過ごせているか、といった点も確認されます。
歯の痛みや副鼻腔の疾患、顎関節症など、似た症状を示す他の原因を除外することも診断の過程では欠かせません。

問診に加えて、必要に応じてMRIなどの画像検査が行われます。
画像検査では、三叉神経を圧迫している血管の有無や、腫瘍・炎症など別の疾患が隠れていないかを確認します。
特に、症状が非典型的な場合や、年齢・経過から慎重な評価が必要と判断された場合には、画像検査が重要な役割を果たします。

このように、三叉神経痛の診断は、症状の特徴を丁寧に把握し、他の原因を一つずつ除外していく過程によって行われます。

三叉神経痛の治療・方針

三叉神経痛の治療は、痛みの強さ、頻度、原因、生活への影響を総合的に考慮しながら進められます。
治療の目的は、単に痛みを一時的に抑えることではなく、痛みをコントロールしながら日常生活を安定して送れる状態を目指すことです。

薬による治療(基本となる治療)

多くの場合、治療の第一選択となるのは、神経の過剰な興奮を抑える薬による治療です。
これらの薬は、三叉神経の異常な信号伝達を抑えることで、痛みの頻度や強さを軽減することを目的としています。

三叉神経痛では、一般的な鎮痛薬が効きにくいことが多く、神経痛に特化した薬が用いられる点が特徴です。
効果や副作用の出方には個人差があるため、症状を確認しながら量の調整や薬の変更が行われます。

薬で十分な効果が得られない場合の治療

薬物治療を行っても痛みが十分に抑えられない場合や、副作用のため継続が難しい場合には、次の段階の治療が検討されます。

その一つが神経ブロックで、痛みを伝える神経の働きを一時的に抑えることで、症状の軽減を図ります。
さらに、画像検査で血管による明らかな神経圧迫が確認されている場合には、外科的治療が選択肢となることもあります。

 

治療方針

三叉神経痛は、痛みが強いため「早く完全に治したい」と感じる方が多い疾患ですが、症状の経過や体調に応じて治療方針を調整していくことが重要です。

無理に治療を進めるのではなく、痛みの程度や生活への影響を見ながら、医師と相談しつつ治療を継続することが、結果的に安定したコントロールにつながります。

三叉神経痛に関するよくある質問

三叉神経痛は自然に治りますか?

三叉神経痛は、症状が一時的に軽くなったり、痛みが出ない期間が続いたりすることはあります。しかし、完全に自然治癒するケースは多くありません。
特に神経が血管に圧迫されている場合、時間が経っても再び痛みが現れることがあります。そのため、「痛みが落ち着いたから治った」と自己判断せず、症状の経過を見ながら医師と相談することが大切です。
適切な治療によって痛みをコントロールし、日常生活を安定させることは十分に可能です。

顔の痛みは歯の病気とどう違いますか?

三叉神経痛の痛みは、突然起こる鋭い痛みが短時間で繰り返される点が大きな特徴です。
歯の疾患では持続的な鈍い痛み、噛んだときの違和感が続くことが多いのに対し、三叉神経痛では数秒〜数十秒の強い痛みが一気に現れて治まります。
歯科で異常が見つからないにもかかわらず、顔の痛みが続く場合には神経性の痛みが関係している可能性があります。

両側の顔が痛むこともありますか?

三叉神経痛は、片側の顔に起こることが多い疾患です。左右どちらか一方に強い痛みが出るケースが一般的です。
ただし、まれに両側に症状が出ることもあります。その場合、三叉神経痛以外の要因が関与している可能性もあるため、より慎重な評価が必要になります。
痛みの出方が典型的でない場合には画像検査などを含めた詳しい診察が行われます。

市販の痛み止めは効きますか?

三叉神経痛では、一般的な市販の鎮痛薬が十分に効かないことが多いとされています。
これは、三叉神経痛の痛みが炎症や筋肉痛ではなく、神経の異常な興奮によって起こるためです。
市販薬を何度も使用しても改善しない場合は、無理に続けず、神経痛に対応した治療が必要かどうかを医師に相談することが重要です。

食事がつらくなるのはなぜですか?

三叉神経痛では噛む・話す・口を動かすといった刺激が痛みの引き金になることがあります。
そのため、食事のたびに痛みが出ることを恐れ、食事量が減ってしまう方もいます。
このような状態が続くと体力低下や生活の質の低下につながるため、早めに治療を行い、痛みをコントロールすることが重要です。

温めると楽になりますか?

温めることで血流が良くなり、症状が和らぐと感じる方もいます。ただし、温熱が必ず有効とは限らず、効果には個人差があります。
温めて痛みが増す場合や不快感が強くなる場合には無理に行わないようにしましょう。
セルフケアとして行う場合は症状の変化をよく観察し、判断に迷う場合は医師に相談することが大切です。

ストレスは関係しますか?

ストレスそのものが三叉神経痛の直接の原因になるわけではありませんが、痛みを強く感じやすくする要因になることがあります。
緊張や不安が続くと神経が過敏になり、痛みの頻度や強さが増すこともあります。
治療とあわせて、休養や生活リズムの見直しを行うことが症状の安定につながる場合もあります。

再発しやすい疾患ですか?

三叉神経痛は再発を繰り返すことがある疾患です。
一度症状が落ち着いても、数か月後、数年後に再び痛みが現れることもあります。
そのため、症状が軽快した後も定期的な経過観察や再発時にすぐ相談できる体制を整えておくことが安心につながります。

どの診療科を受診すればいいですか?

三叉神経痛が疑われる場合は、脳神経内科や脳神経外科での相談が一般的です。
歯や副鼻腔の問題と区別がつきにくいこともあるため、複数の診療科を経て診断に至るケースもあります。
顔の痛みが続く場合は「どこに相談すればいいか分からない」と放置せず、まずは医療機関に相談することが大切です。

三叉神経痛を放置するとどうなりますか?

三叉神経痛を放置すると痛みの頻度や強さが増し、日常生活への影響が大きくなる可能性があります。
痛みへの恐怖から食事や会話を避けるようになり、精神的な負担が増すこともあります。
早めに適切な治療を受けることで、症状をコントロールし、生活の質を保つことが期待できます。